ミドルセンサー(中判)デジタルの意味。
私の撮影〜納品スタイルは、現場での撮影カット数ではなく、撮影後に1枚目の写真のようなコマ写真=インデックスシートをPDFで提出し、その中から希望カットをセレクトいただき、仕上げ現像を行なった後に納品データをお渡ししています。
いつものように提出したインデックスシートをご覧になった設計事務所の方が、「ファイルナンバーにある"G50R"ってもしかして…」とお気付きになったので、FUJIFILM GFX 50Rを導入したことを伝えると、その意味(メリット)は?とのご質問。
その時お答えした内容を、ここにまとめてみます。
最初に、画素数に関しては、これまでメインで使用しているSONY α7Rが4240万画素、GFX50Rが5140万画素なので、それほど差はありません。大きな違いはセンサーのサイズ。4枚目の写真(図)を見れば明らかです。では、その中判センサーと呼ばれるFUJIFILM G FORMATのメリットはなにか。
[1]ダイナミックレンジが広い 分かりやすくひと言で言えば、白飛び・黒潰れしづらいことです。建築の場合、外観なら少しでも逆光気味の撮影で建物に露出を合わせると、すぐに空が白飛びします。内観なら室内は思いのほか暗く、室内を適正露出にすると開放部(窓など)もまた白飛びしてしまいます。FUJIFILMのカメラにはさらにDR(ダイナミックレンジ補正)機能があり、センサーサイズと加えて、露出差の激しいシーンにも余裕をもって対応できます。
[2]パースペクティブを抑える 建築撮影には、焦点距離が24mm以下の超広角レンズが必須です。レンズは焦点距離が短くなるほどパースペクティブが激しく(遠近感が強調され)、人間の目で見るよりも極端に奥のものが小さく、手前のものが大きく写ってしまい、違和感を覚える場合も少なくありません。結果として「実際よりもすごく広く見える」。このことはもちろん超広角レンズの メリットでもあるのですが。 さてここで35mm FORMATとG FORMATの違いです。たとえば同じ24mmのレンズを使っても、センサーサイズが大きい分、写る範囲も大きくなります。G FORMATなら24mmのレンズで19.2mmの画角を得られる。逆の言い方をすれば、35mm FORMATのカメラなら約20mmのレンズを使わないと撮れない建物や部屋が、24mmで撮れる。 そのため、先ほど書いたように「焦点距離が短くなるほどパースペクティブが激しく」なることを抑え、人間の目に近い遠近感での表現を実現してくれます。
50R導入の一番大きな理由です。
[3]超広角でのシフト撮影ができる
建築撮影では敷地に限りがあり、引き(被写体から離れられる距離)に余裕がない場合がほとんどです。だからこそ超広角レンズが必須なのですが、アオらずに(見上げたり見下ろしたりせずに)カメラを建物と正体させることが、の建物の水平垂直をキープした建築撮影に不可欠です。
シフトレンズ(シフト撮影)については以下の記事をご参照ください。
前項で、G FORMATでは、35mm FORMATで24mmのレンズで19.2mmの画角を得られると書きました。現在保有している最も広角なシフトレンズはCanon TS-E17mm。これをG FOMATに換算すると13.6mmの画角になります。
今までなら、17mmでは画面に納まらず、しかたなく普通のレンズで撮影後にデジタル処理していた現場で、13.6mmの画角で光学的に水平垂直をキープしての撮影が可能になります。
もちろん、大きいセンサーサイズ=「良い写真」が撮れるわけではありません。
良い写真は機材とほぼ関係ないですから。
SONY αシリーズとの使い分けは、また別に機会に。
*画像の一部はメーカーサイトよりダウンロードして使用しています。
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